ロンドン塔(世界遺産地図 地図

 ポール・ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
  歴史の一場面を大画面に表す。中央の目隠しされた女性が ジェーン・グレイ。
16世紀半
ば、宗教改革に端を発する政争に巻き込まれ、はからずもイン
グランド史上初の女王となる。

が、わずか9日後に反対勢力によって廃位され、その7ヵ月後、
16歳でロンドン塔で反逆の
罪により処刑された。

画面左に泣き崩れる侍女たち。右には鈍く光る斧を手にした首切り役人。
聖職者に首置き
台へと手を導かれるジェーンは、真っ白い肌に純白のドレスをまとい、
自己の潔白を主張し
ているかのよう。
血を吸い取る
ため床に敷かれたわらとともにこの後の惨状を想像させる。
緻密な構成と描写は、まる
でオペラの一幕を見ているような臨場感を誘う。

ドラローシュ (1797〜1856)は19世紀のフランスで、歴史に材を取った絵で人気

を博した。
本作もサロン(官
展)に出品するや大評判となったという。
文豪・夏目漱石は口
ンドン留学中にこの絵を目にして強い印象を受け、
小説「倫敦
塔」に処刑の様子を描いた。

本作は1928年のテムズ川の大洪水で失われたと考えられていたが、
73年の調査で奇跡的
に収蔵庫から発見された。
75年
の一般公開以来、ナショナルギャラリーの代表作とされてきた。
2017−9−1 朝日新聞 
(池田洋一郎)

ロンドンのテムズ川北岸にある城砦じようさい。
一一 世紀にウィリアム一世(征服王)が建て,増築を重ね,長い間国事犯の幽閉所として使用された。
現在は 博物館になっている。
大辞林 第三版
1066年ウィリアム征服王の時代から、王宮や貴族の牢獄・処刑場として、英国史の舞台となってきた。
幼い王子たちが暗殺されたブランディ・タワー。
 何世紀にもわたって集められた宝石、宝冠、宝剣など、王室が公式の場で用いる宝飾品がおさめられている。
ジュエル・ハウスには、世界最大級の大きさ530カラットのダイアモンド(アフリカの星)が展示されている。
 テムズ川から国事犯として船で運び込まれた者は、
このゲート(トレイターズ・ゲート)をくぐり中に入れられ、二度と外に出ることはできなかった。