柔らかい午後

ダムの仕事　中止になるかもしれん
知事さん替わったし　カネもかかり過ぎやて
景気悪いし　俺らひまになってまうで
なんとかなるよ　心配すんな
みつわ食堂のなみちゃんが訊いとったで
も一人の兄ちゃんどないしたん　て
どない言うたんや
ちょっと病気や言うといた
まさか痔やなんて言わへんかったやろな
言うたろか思ったけど止めといた
飲み過ぎか　言うて笑うとった

昼下がり　病院の外科病棟の待合室に
入院中のと　見舞いに来たのと二人の若者
それに　妻の手術が終わるまで待機のぼく

熱い紅茶の中で端から少しずつ崩れていく
角砂糖のように
角張ったところから身体が溶け出して
柔らかい午後の時間に混ざっていった

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