靴

若いお父さんが
小さな女の子を抱いて
電車に乗ってきた
空いた席に座ったらすぐに
抱いたまま片手で
器用に靴を脱がせて
きちんと揃えて床に置いた

お父さんの足の
親指よりちょっと大きいくらいの
赤い可愛い靴が
行儀よく膝をくっつけて
真向かいに座っているぼくを見上げて
にこっと笑った
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