絨毯織り工房

 トルコにおける絨毯文化の奥は非常に深く、世界で初めて絨毯を織った民族(パズルック)も世界一細かい絨毯(ヘレケ)を織った民族もトルコ人である。トルコ民族の織り方も独特でダブルノットとも呼ばれる二重結びである。
 トルコの手織りの絨毯は素材によって大きく3種類に分けられる。
 絹
 トルコの絹の名産地ブルサのシルクで出来る絨毯。100%シルクで出来たものは非常に高価である。
 シルクを他の素材と混合すると、シルクの繊維が綿や羊毛より強いために、いずれ混合した繊維が切れてしまう。したがってシルク絨毯を買う時必ず確認するべきことは純絹(100%シルク)かどうかである。非常に長もちするものだから孫の財産なるということわざもある。
 羊毛
 トルコの各地方で羊の牧畜が行われ、そのやわらかい純毛を絨毯にする。シルクほど長もちはしないが実用的で寒い冬に床に敷くと暖かくて気持ちが良いといわれている。
 混合(綿と羊毛)
 絨毯は基本的に縦糸、横糸、結び目という三つの部分から成り立っている。混合の場合縦横糸を強い綿にして表に出てくる部分(結び目)を羊毛にする。そうすることにより純毛の絨毯より長持ちさせることが出来る。手触りや風合いも純毛と同様に良くなる。 
 トルコ民族が遊牧民をやめアナトリア高原に定着した後、13世紀頃から作り始めた。
 絨毯の柄と産地
 大昔に作られた絨毯は簡単に織れる幾何学模様が中心であったが(ほとんどは羊毛)、時を経て徐々の細かい柄(花模様、綿と羊毛の混合か絹)に変化していった。
 1891年にオスマントルコの王様の命令でヘレケの町ができ、当時の絨毯の天才職人が集められ、ヘレケ式絨毯(独特な花柄と最高の細かさを誇る)が織られ始めた。ヘレケは未だに世界一細かい絹と綿羊毛混合の絨毯産地としての名を誇っている。
 ギネスブックにも世界一細かい絨毯として登録されているのは、ロイヤルカーペットとも呼ばれるヘレケの絨毯である。
 ヘレケとカッパドキア以外の絨毯の名産地としては、エーゲ海沿岸のクラ町やコンヤ市の南にあるラディック町が有名で、ここでは主に羊毛の絨毯が織られている。