26 ぬはたまの 夜さり来れば
歌 柿本人麻呂 巻7−1101 筆 武者小路実篤 地図 |
黒玉之 夜去来者 巻向之 川音高之母 荒足鴨疾 |
ぬばたまの よるさりくれば まきむくの かわとたかしも あらしかもとき |
ぬはたまの 夜さり来れば 巻向の 川音高しも 嵐かも疾き |
夜になってくると、巻向の川の音がたかいよ、山の嵐が烈しい からであろうかナア。 人麻呂が妻の家で一夜を明かした時の歌であろうか。深々とし た夜が刻々とふけてゆくころ、家の裏の川音が急に高くなって きたのを耳にして、山から吹き降ろす風のはやさを思い深く心を しずめてゆく。 ぬばたまの:夜の枕詞 |
三輪山と穴師山との間、東方に位置する巻向山が あり、巻向川は、穴師山と巻向山との間の渓流を集 める。 |
巻向川は、現在の芝運動公園の西方で初瀬川 に合流し、磯城郡で大和川と名を変え、法隆寺 斑鳩辺では、寺川・飛鳥川・曾我川・岡崎川・富 雄川等すさまじい合流を経て大阪湾へと流れる。 |