隼上がり瓦窯跡地図

     
 隼上り瓦窯跡は、琵琶湖を源とする宇治川の中流に架かる宇治橋の北東800mに位置し、
低丘陵の末端部南斜面に営まれた7世紀前半頃の瓦窯跡である。
 この瓦窯跡で制作された瓦は、50km離れた奈良県の豊浦寺で用いられており、古代寺院造営
と窯業生産の実態を解明する上に欠くことの出来ない遺跡である。
 遺跡は、瓦窯跡群と工房跡とに分かれている。瓦窯跡は、丘陵斜面構築された全長10m程の登り窯で、
4基が確認された。工房跡は、瓦窯跡の西側30m地点に築かれており、7棟の建物跡や粘土貯蔵穴など
瓦生産関連遺構が発見された。
 出土品には、多量の瓦類と須恵器類がある。瓦の文様は、典型的な高句麗様式を主体としており、
ここで製作された瓦は、7世紀前半頃に蘇我氏が飛鳥に建立した豊浦寺で用いられている。
瓦窯跡は、発掘調査後埋戻し、後援として整備した。