かって大和一国を挙げての祭礼とも言われた春日大社の「春日若宮おん祭り」が毎年12月15日〜18日、奈良市で開かれる。平安時代に始まった。 15日、祭りの無事を祈る大宿所祭などから始まり、春日大社の摂社、若宮神社の神を1日だけ外へお連れする17日を迎える。 午前0時から若宮神を御旅所に遷す「遷幸(せんこう)の儀」、正午の「お渡り式」へと続く。 式では、平安から江戸までの時代装束など身にまとった総勢1千人と馬50頭の行列が、県庁前から国道369号を西へ進み、三条通りを折り返して若宮神の待つお旅所へと向かう。途中では、2頭の馬が競争する競馬や、稚児流鏑馬(やぶさめ)などもある。 一行がお旅所に着くと、おん祭りの中心的な神事「お旅所祭」が始まる。仮殿へと遷った若宮神の前で、神楽や田楽、舞楽といった神事芸能を約8時間にわたって奉納。若宮神を24時間以内に神社へ戻さなければいけないため、午後11時ごろからの「還幸(かんこう)の儀」によって還(かえ)る。 18日の奉納相撲や後宴能で4日間の幕を閉じる。 2013−12−12 朝日新聞 より |
師走の南都を彩る春日若宮おん祭り。 大宿所祭(だいしゅくしょさい)は15日その始まりを告げる催し。場所は春日大社の大宿所(奈良市餅飯殿町)で開かれる。ここで、参加者らの心身を清める御湯立(みゆだち)が営まれる。 大社と縁深い奈良市内の地域から選ばれた女性4人が輿に乗り、JR奈良駅前から三条通や小西通などを練り歩き、大宿所に向かう。 御湯立では湯立巫女が直径1mほどの大釜の湯に米や酒を入れ、各地の神々を呼び集める。「サヨーサ、サヨーサと声を上げる。湯にひたしたササの葉を大きく振る。真っ白な湯気が空中に弧を描く。奉仕者らは頭を下げる。清めのしずくを受けることとなる。 |
飢饉や疫病が続き、悪霊を鎮めるため、藤原氏ら京都の貴族が新たな社殿の建立を図った。 奈良に都があった768年に創建された本殿には四神がまつられたが、都が京都に移って数百年たったある日、春日大宮の神意が伝えられ、5番目の神である若宮神が正しくまつられていないとする託宣が降りた。そこで、若宮神を本殿の中央にまつり、1135年、本殿から少し離れた現在の場所に独立して移された。 春日の地には古来、御蓋山を神体とする信仰があったことが祭祀遺跡などから分かっている。 |
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