16 いにしへに ありけむ人も
歌 柿本人麻呂 巻7−1118 筆 吉田富三 地図 |
古尓 有険人母 如吾等架 弥和乃檜原尓 挿頭折兼 |
いにしへに ありけむひとも わがごとか みわのひはらに かざしおりけむ |
いにしへに ありけむ人も わが如か みわの桧原に かざし折りけむ |
昔の人も自分のように、この三輪の桧原でかざしを折ったことであ ろうか。 かざし:髪挿し、桧の葉をかんざしにしたことであろう。 草木の花や葉を髪に挿すことは、それらの植物の生命力 にあずかり、繁栄を願うための呪術であったのだろう。 |
桧原神社
珍しい朱の三つの鳥居がたつやしろ。 |
柿本人麻呂が、妻を隠し住まわせていたといわれる桧原のこの地を、散歩したであろうか。 その妻が死んで、引手の山から「生けるともなし」と下ってきた人麻呂は、思い出の地を訪れて、 慟哭の歌をよんだ。 往く川の過ぎにし人の手折らばうらぶれ立てり三輪の桧原は |