富雄丸山古墳地図

 
直径110m、国内最大の円墳。
4世紀後半につくられたとみられ有力豪族の墓だった可能性がある。 
 
 北東に方形の造り出しがある

 国内最大の円墳とされる富雄丸山古墳 (奈良市、4世紀中ごろ)で、

円墳から突き出た方形の「造り出し」が3段構造とわかった。 市埋蔵文

化財調査センターによると、古墳の造り出しは1段が多く、3段は他に

例がないとみられる。富雄丸山古墳の造り出しは最古期のものとされ、

その後の構造の変遷を考える上で貴重な発見だという。 

 富雄丸山古墳は直径約110mの円墳。北東部分に方形の造り出しが
あることはこれまでにわかっていた。造り出しは埋葬者の墓前祭祀が
営まれたり、祭礼品を埋めたりした場所などと考えられている。

 センターは昨年2月からこの部分の発掘を進めていた。調査の結果、
造り出しは幅約45m、長さ約25mで、3段構造と判明した。

 最上段までは高さ約5mで今回の調査範囲では上段と中段の間に
約1.5m、中段と下段の間に約40cmの段差があることがわかった。
下段には円筒埴輪列も見つかった。

 センターによると、造り出しは大規模な前方後円墳の多くに確認され
ている。 造り出しの構造は4世紀後半から定型化しウワナベ古墳(奈
良市、5世紀前半)など1段のものがほとんどだという。淡輪ニサンザイ
古墳 (大阪府、5世紀半ば)など2段のものも5基確認されているが、3段
の発見は初めてとみられる。

 鐘方正樹センター所長の説明では、富雄丸山古墳の造り出しは、
構造の定型化が始まる前の4世紀中ごろ。最古期には3段でつくられ
ていたものが、 何らかの理由で後世に継承されず、1段が定着した可
能性が考えられるという。

 神戸女子大学の寺沢知子教授(日本考古学)は「日本最大の円墳の
造り出しが、他に例のない丁寧に造られた3段構造であることが発掘
調査で明らかになった。 富雄丸山古墳は造り出し付き円墳の最古段
階と位置づけられ、その被葬者はヤマト政権内で非常に大きな権力を
持っていたことが改めて確認された。空白の4世紀の実像に迫る成果

で、今後の更なる調査の進展が期待される」と話した。

 地元の住民向けの現地説明会はすでに終了し、現場は埋め戻され
ている。
  2021-3-4 朝日新聞(夕刊)(福岡龍一郎)

 2017年の測量で国内最大の円墳と判明した奈良市の富雄丸山古墳について、奈良市埋蔵文
化財調査センターは28日、発掘
調査の結果を発表した。 直径は約109mで測量時の数字とほ
ぼ一致。墳頂部から
は、腕輪を模した「鍛形石」など、被葬者有力豪族だったことを裏付けるよ
うな副
品も見つかったという。

 センターによると、富雄丸山古墳は4世紀後半の築造と推定される。 17年に上空からレーザ
ーで測量した
ところ、直径約110 m、高さ約14mで、国内最大の円墳と判明。斜面と平坦面を階
段状に交互に重ねた3
段の構造であることもわかっていた。

 今回の発掘調査は昨年12月に始め、墳頂部や、北東の張り出し部分「造り出し」など4カ所
で実施し
た。レーザー測量だと幅約2~3mとみられた平坦面は、1段目が幅7.2m、2段目が
幅8.8mと広か
ったことが新たに判明。斜面部分は急で、そり立つような形状であったことがわ

かった。

 平坦面には、 円筒埴輪列が円墳の中心を守るように並んでいた。造り出し部分も2段以上の
構造になって
おり、幅3.8mの平坦面の中央に円筒埴輪列が見つかった。

 また、1972年に県教委が発掘調査した墳頂部を再発掘したところ、装飾品の鍬形石の破片や、
宝飾装
身具の部品である「管玉(くだたま)」などが見つかった。センターによると、鍬形石の破片
は、京都国立博物館所蔵の「大和富雄丸山古墳出土|品」(国重要文化財)に含まれる鍬形石の
一部とみら
れる。

 センターの村瀬陸主事は「日本最大の円墳であることがほぼ確定した。副葬品から見ても、
被葬者はヤマ
ト王権に準ずる有力者だったのではないか」と話す。
  2019-1-24  朝日新聞

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