吉備塚古墳地図
奈良市高畑町の奈良教育大校内にある吉備塚古墳(6世紀前半)から出土した
長約93cm、幅約3cm)に刻まれた人物などの象眼は、中国·南斉の神仙図をルーツにした 日本の作品という見方を、同大学の山岸公基助教授(美術史)が明らかにした。両方にある 翟の絵柄の共通性に着目した。国内に類例のない図柄だけに大刀の制作地をめぐり様 々な見解があったが、絵のモチーフを通した考察は初めてだ。
この「三累環頭大刀(さんるいかんとう)」は、X線調査で刀身の表裏に仙人らしい人物像 山岸さんは、先ごろ発行された調査の中間報告書「吉備塚古墳の調査」で、象眼文様に 山岸さんは、大刀の刀身に刻まれた人物が羽人、その後ろにいるのが竜(裏は虎) 、 「南斉の図柄が日本に伝わり、国内の技術者が大刀に刻んだのだろう。壁画に比べて絵 大刀の時期についても、古墳の築造より数十年前と推定。倭王武(雄略天皇)が南斉の 絶える日中交渉が、5世紀後半はまだ盛んだった。大刀の刀身もそのころ制作され、古墳 山岸さんの推論は、日本が6世紀に仏教を受け入れた背景にも及ぶ。「5世紀後半まで、 |
南斎和帝の墳墓に記された羽人と竜。羽人が手
に持って掲げる 「花」の図柄が吉備塚古墳の「花」に似る |