厳島神社地図
良因寺地図




厳島神社

     
   
いそのかみ寺と良因寺

 
 此の村布留町に室町朝時代に二つの有名な寺がありま

した。一つは、いそのかみ寺(小野小町が訪れた寺)と

僧·遍昭がいた良因寺の二つである。

 良因寺は、この厳島神社附近一帯がその境内地で寺領

も一町二反六十歩(約四千坪)あり今でも西塔、堂の前

堂のかいと、堂のうしろという小字名がのこっている。

 いそのかみ寺は、石上神宮の境内地のどの辺かに祭ら

れていたと思われるが、寺跡も記録もないので説とし

てとどめおく次第。

 小野小町は淳和、仁明天皇に仕へ絶世の美人で歌才も

豊かで、六歌仙の中の唯一人の歌人であった。

 遍昭は、桓武天皇の孫にあたり時の帝に仕へ要職にあ

ったが、後出家して俗名宗貞を遍昭と名乗り、良因寺

の僧となりこの地に住居していた。

 小町も三十才の時宮仕へをやめ都より遥々この地に旅


を楽しみ日没に成ったので遍昭この地に住居すると聞

き一夜の宿を乞ふ。

 後選和歌集巻十七に詳しく記録されている


         小町
   いそのかみ旅寝をすれば いと寒し 

  苔の衣をわれにかさなむ


かえし   遍昭 
  
世をそむく苔の衣は ただ一重

  かさねばうとしいざ二人ねむ

 この寺はいつ頃から衰退したか明らかではないが、こ

地を訪れる人が、いそのかみ寺はどこにありますか

と尋れられるか、村人さえ知らないので、この度 当

境内に歌碑を建立して貴重なる史蹟を永久に保存する

ことに した。

   平成四年五月 保存会

遍照と小野小町   大念寺








良因寺
 
 薬師堂