亀形石造物

   
当初の四天王寺の亀形石造物 現在の四天王寺の亀形石造物
2019-4-27 朝日新聞より  
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飛鳥の亀形石造(四天王寺と比較の為左右反転) 飛鳥石造物の水の流れ、小判形石造物から亀形石造物の頭に流れる 
  当初つくられた四天王寺の亀形石造物の水の流れは、現在の飛鳥の石造物と同じく小判形石造物から
亀形石造物の頭に流れている。ところが現在は逆に亀形石造物から小判型石造物に流れている。
 調査の結果、上水槽亀形石造物はのちの時代に取り付けられたもので、もとは四角形の石造物であった
ことが判明した。 
また、下水槽の小判形石造物は足も残っており、頭が欠けていて小判形石造物のようになっている。よく見
ると亀の頭に近いところにひびが入っている。石造物でひびが入る原因としてかなり大きな地震が考えられる。
頭を失っているのはこの時か、或いは別の地震で落ちてしまった可能性が高い。

 大阪市天王寺区の四天王寺境内の「亀井堂」にある亀形の石

槽を調査した結果、奈良県明日香村の酒船石遺跡で出土した
形石造物(7世紀後半)などの導水施設と同じ構造だったこと

が分かった。寺が26日発表した。飛鳥時代の斉明天皇(在位

655~661)の祭祀に使われたとみられる飛鳥の亀形石造

物よりも古い可能性があり、波宮(大阪市)に遷都し、'政治

改革を進めた孝徳天皇(同645~654)の時代にも宮廷儀

式に使われた可能性などが指摘されている。

 四天王寺は6世紀末の創建とされ、亀井堂は寺の中心部北東

に位置し、現在も祖先供養の木の札を流す儀礼が行われる。亀

形石槽は上下に分かれ、上水槽には頭と甲羅があるが、下水槽

は小判形で頭はなく、四本の足がある。二つの水槽が連結し

水を流す構造だ。

 調査した元興寺文化財研究所(奈良市)によれば、上水槽

(全長約1 . 2m、幅約1.5m)の頭と甲羅は花崗岩製。
ちの時代に取り付けられ、もとは四角形の石槽だったことが

判明。下水槽(全長約2.3m、幅約1.5 m)にも当初は

頭があったとみられ、上水槽にたまった水が下水槽の亀の頭

部に流れ込む構造だったとみられる。上水槽の本体と下水槽は

ともに兵庫県高砂市周辺で産出する竜山石(凝灰岩)製だった。

 一方、飛鳥の亀形石造物(全長約2 . 3m 、幅約1 . 9m)

は花崗岩製。円形の甲羅部分は水槽のように加工され、頭を南

に、尻尾を北に向け、足も表現されている。近くに設置された

小判形の石造物から亀形へと水が流れる仕組みだ。

 猪熊兼勝・京都橘大名誉教授(考古学)は「飛鳥の亀形石造

物の原型なのかもしれない。仏教儀式というより、孝徳朝に占

いなどの宮廷儀式に使われた可能性もあるのでは」とみる。
  平成31年4月27日 朝日新聞 (今井邦彦)