六勝寺とは,院政時代に岡崎の地に造営され

た、「勝」の字のつく六つの皇室の御願寺の総称である。

①法勝寺…白河天皇の御願寺で,六勝寺の初め。最も有名で

最大のもの。毘廬遮那仏を本尊とする金堂を中心に,九体阿

弥陀仏を安置する阿弥陀堂など,奈良仏教,平安密教当時の

净土信仰を総合した寺院。増築時の八角九重塔は高さ82m余

の大塔。現在の動物園の池は寺の池跡の一部。

こんしようじ

②尊勝寺…堀河天皇の御願寺。法勝寺に次ぐ規模で,金堂・

阿弥陀堂,東西の五重塔など多くの堂宇があった。1959 (昭

和34)年発掘。現京都会館付近。

③最勝寺…鳥羽天皇の御願寺。金堂・葉師堂・五大堂など。

現岡崎グラウンド付近。

④円勝寺…鳥羽皇后待賢門院(藤原璋子)の御願寺。二丈の

大日如来像,丈六の4仏を安置する金堂,五大堂・中塔(五

重塔)・東西塔(三重塔)など。1974 (昭和49)年発掘。現

京都市美術館付近。

⑤成勝寺…崇徳天皇の御願寺。最も小規模。現岡崎図書館付近。

⑥延勝寺…近衛天皇の御願寺。金堂・塔など。のち近衛家か

ら九体阿弥陀堂を移建改築。現市立伝統產業会館付近。