華頂山 元慶寺(かちょうざん がんけいじ) 地図

     
 華頂山 元慶寺(かちょうざん がんけいじ) 別称 花山寺
 西国三十三所霊場番外札所 
 本尊 薬師如来
 天台宗   
 西国巡拝を再興された花山法皇が落飾(剃髪)された寺である。寺の開基は遍照僧正で、元慶元年(877)という。

 住宅と田んぼにはさまれた細い道を歩いていくと、竜宮造りの山門が現れる。西国巡礼の中興の祖

とされる花山法皇が出家したという天台宗の寺である。

 花山法皇は寵愛していた女御を妊娠8カ月で亡くしたうえ、藤原兼家らの策謀で退位, 19歳で得度し
た。出家した側近らと
ここで暮らした後、観音霊場参りに行ったという。このため、西国三十三所の番外
に名を連ね
ている。

 本尊は秘仏・薬師瑠璃光如来だが、ご開帳の予定はない。所蔵している梵天帝釈天像は平安中期
の作と伝えられ、
京都国立博物館に寄託している。山門内には菅原道真の銘文の入った鐘があるが、
戦争による金属供
出などで3代目の鋳造。「観光寺院ではなく、檀家もないため、苦労しながら維持して
いる
のが現実です」と田畑良宏住職は打ち明ける。

 それでもこぢんまりとした境内は手入れが行き届き、すがすがしい。桜、ツバキなど季節の花を見るだ
けでいやされ、毎月
8日には本堂で写経会もある。

 寺を開いたのは、六歌仙の一人として知られる僧正遍昭だ。陽成天皇の護持僧として寺門の拡大に努
めたが、応仁の乱で建物は焼失した。現在の建物は江戸後期に再建された。

 境内には百人一首で有名な
  天つ風雲の通ひ路吹きと,乙女の姿しばしとどめむ
の歌碑がある他、寺の近くには僧正遍昭の墓がある。足を延ばせば小野小町ゆかりの随心院も。
百人一首に思いをはせ、歩くのもよさそうだ。
  2008−12−5  朝日新聞 (田中京子)

遍照と小野小町